「国の補助金と市の補助金って、両方もらえるんですか?」
V2Hの導入費用は100〜180万円程度と高額ですが、国や自治体の補助金をうまく活用すれば、自己負担を大きく抑えられます。しかし、「国と市の補助金を両方申請しても大丈夫なの?」「二重取りにならない?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、V2H補助金の併用ルールをわかりやすく解説します。埼玉県内の自治体を例に、併用できるケース・できないケースの見分け方や、実際の申請スケジュールの組み方まで具体的にまとめています。
- 国と自治体のV2H補助金は原則併用できる
- 併用NGになる例外パターンの見分け方
- 埼玉県内での併用シミュレーション
- 両方申請するときのスケジュール管理のコツ
結論|国と自治体のV2H補助金は原則「併用できる」
結論から言うと、国のCEV補助金と市町村独自のV2H補助金は、原則として併用が可能です。
これは「二重取り」ではありません。国の補助金は経済産業省の予算から、市町村の補助金は各自治体の独自財源から交付されるもので、そもそも制度の出どころが別です。それぞれの申請条件を満たしていれば、両方に申請して問題ありません。
実際に、多くの自治体が交付要綱のなかで「国の補助金との併用を妨げない」旨を明記しています。
ただし、すべてのケースで無条件に併用できるわけではありません。自治体によっては補助金の財源に国庫支出金が含まれており、その場合は国の補助金との併用が制限されることがあります。また、自治体側の補助額を計算する際に「CEV補助金の交付額を差し引いた残額」を基準にするケースもあります。
次のセクションから、補助金の種類と併用の具体的なルールを詳しく見ていきましょう。
そもそもV2H補助金にはどんな種類がある?
V2Hの導入に使える補助金は、交付元によって大きく3つの層に分かれます。まず全体像を整理しておきましょう。
国の補助金(CEV補助金)
経済産業省が所管し、一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV)が審査・交付を行う「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」です。V2H充放電設備に対しては、設備費(購入価格の1/2、上限50万円)と工事費(個人の場合上限15万円)をあわせて最大65万円が交付されます(2025年度実績)。
全国一律の制度なので、どこに住んでいても条件を満たせば申請できます。
都道府県の補助金
都道府県レベルでV2H向けの補助金を設けている自治体もあります。たとえば東京都は国のCEV補助金と併用可能な独自制度があり、条件次第で上限100万円と非常に手厚い内容です。
一方、埼玉県は令和8年度(2026年度)時点でV2H向けの県独自補助金の実施予定はありません。埼玉県が実施していた「電気自動車等導入費補助金事業」は車両と外部給電器が対象で、V2H充放電設備も含まれていましたが、令和7年度で事業が終了し、令和8年度は実施しないことが県の公式サイトで明記されています。
つまり埼玉県民の場合、V2Hの補助金は「国(CEV補助金)+市町村」の2段構えで考えることになります。
市町村の補助金
市町村レベルでは、V2Hや蓄電池、太陽光発電の導入に対して独自の補助金を設けている自治体が数多くあります。補助金額は数万円〜15万円程度と自治体によって幅がありますが、国のCEV補助金と併用できるケースがほとんどです。
埼玉県内では、さいたま市(上限10万円)、久喜市、川越市、狭山市など多くの市が制度を持っています。ただし、V2H単体では対象外で「太陽光パネルとのセット導入」が条件になっている自治体や、そもそもV2Hを補助対象に含めていない自治体もあるため、お住まいの市の制度を個別に確認する必要があります。
補助金の3層構造まとめ
| 交付元 | V2H向け補助(埼玉県の場合) | CEV補助金との併用 |
|---|---|---|
| 国(CEV補助金) | 最大65万円 | ─ |
| 埼玉県 | 令和8年度は実施予定なし | ─ |
| 市町村 | 自治体により異なる | 原則OK(例外あり) |
併用できるケース・できないケースの見分け方
「原則併用OK」とはいえ、例外もあります。ここでは併用の可否を左右するポイントと、確認の仕方を整理します。
併用OKのケース
市町村の補助金が自治体の独自財源で運営されている場合、国のCEV補助金との併用は基本的に問題ありません。
埼玉県内では、たとえば狭山市は公式サイトのQ&Aで「クリーンエネルギー推進補助金は国費を充当していないため、併用可能です」と明記しています。このように、自治体の要綱やFAQに併用可否が書かれているケースは判断が簡単です。
さいたま市や久喜市の補助金も、国のCEV補助金と併用して申請できた実績があります。
併用NGまたは制限があるケース
注意が必要なのは、市町村の補助金の財源に国庫支出金が含まれている場合です。国の予算が元になっている補助金同士は、二重交付を防ぐ観点から併用が制限されることがあります。
埼玉県内では、所沢市・春日部市・新座市などの太陽光発電・蓄電池関連の補助金が国庫支出金を財源としている例が確認されています。これらの市でV2Hがセット条件に含まれている場合、CEV補助金との併用に制限がかかる可能性があります。
「差し引き計算」になるケース
併用自体はOKでも、自治体側の補助額の計算方法に注意が必要なパターンもあります。
一部の自治体では、補助金の算定基準額を「導入費用からCEV補助金の交付額を差し引いた残額」としています。つまり、CEV補助金で50万円もらった場合、自治体の補助対象経費がその分だけ減り、結果として自治体からの交付額が小さくなるという仕組みです。
併用できること自体は変わりませんが、「国の補助金+自治体の補助金=単純合算」にはならないケースがあることを覚えておいてください。
確認する方法
①自治体の交付要綱を読む
「他の補助金との併用」「国庫支出金」などのキーワードで要綱内を確認します。多くの場合、併用に関する条項が設けられています。
②自治体の窓口に直接聞く
要綱を読んでもわかりにくい場合は、担当部署に電話で「国のCEV補助金と併用できますか?」と聞くのが一番確実です。
③施工業者に確認する
V2Hの施工実績が豊富な業者であれば、地域ごとの併用ルールに詳しいことが多いです。見積もりの段階で「国と市の補助金を両方使いたい」と伝えておけば、対応を確認してくれます。
田中健太
鈴木さおり
田中健太
埼玉県内の併用シミュレーション
実際に国と市町村の補助金を併用した場合、自己負担がどの程度になるかをシミュレーションしてみます。ここでは、ニチコンプレミアム(単機能型V2H)を導入する想定で試算します。
共通の前提条件
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| V2H機器の実売価格(税込) | 約100万円 |
| 設置工事費 | 約30万円 |
| 導入費用の合計 | 約130万円 |
ケースA:さいたま市の場合
| 補助金 | 金額 |
|---|---|
| 国のCEV補助金(設備費+工事費) | ▲約60万円 |
| さいたま市の補助金(上限10万円) | ▲約10万円 |
| 補助金の合計 | ▲約70万円 |
| 自己負担額 | 約60万円 |
さいたま市の補助金は令和7年度の実績ベースです。令和8年度の制度はまだ公表されていないため、金額や条件が変わる可能性があります。
ケースB:久喜市の場合
| 補助金 | 金額 |
|---|---|
| 国のCEV補助金(設備費+工事費) | ▲約60万円 |
| 久喜市ゼロカーボン推進補助金 | ▲約5〜10万円 |
| 補助金の合計 | ▲約65〜70万円 |
| 自己負担額 | 約60〜65万円 |
久喜市の補助金は「CEV補助金の交付額を差し引いた残額」に対して補助率を適用する計算方式をとっているため、CEV補助金を満額受け取ると市の補助額は小さくなる傾向があります。それでも併用しないよりは確実にお得です。
補助金なしと比較すると?
| パターン | 自己負担額 |
|---|---|
| 補助金なし | 約130万円 |
| 国のCEV補助金のみ | 約70万円 |
| CEV補助金+市の補助金(併用) | 約60〜65万円 |
CEV補助金だけでも導入費用の約半分をカバーできますが、市の補助金を併用することでさらに5〜10万円の上乗せが見込めます。「たかが5万円」と感じるかもしれませんが、申請の手間はそこまで大きくないので、対象になるなら使わない理由はありません。
※金額はあくまで概算です。機器の実売価格・工事費は業者によって異なり、補助金額も年度や審査結果で変動します。正確な自己負担額は見積もりと交付決定額をもとに算出してください。
併用するときの申請スケジュールと注意点
国と市町村の補助金を併用する場合、最も気をつけたいのが申請のタイミングです。それぞれの制度で「いつ申請するか」「いつ着手してよいか」のルールが異なるため、段取りを間違えると片方の補助金が受けられなくなるリスクがあります。
CEV補助金は「交付決定後の着手」が絶対ルール
国のCEV補助金では、補助金の交付決定通知を受け取る前にV2H機器の発注や工事に着手してしまうと、補助金の交付対象外になります。これは最も多い失敗パターンで、業者から「早く発注しないと納期が間に合わない」と急かされて先走ってしまうケースが後を絶ちません。
交付決定までの期間は、不備のない申請を受け付けてからおおむね1〜2ヶ月程度です。申請が集中する時期はさらにかかることもあります。
自治体の補助金は「事前申請」と「事後申請」に分かれる
一方、市町村の補助金は自治体によって申請のタイミングが異なります。
事前申請型:工事の前に交付申請を行い、交付決定を受けてから工事に着手するタイプ。さいたま市などが採用しています。CEV補助金と同じ考え方なので、スケジュールは組みやすいですが、交付決定を2つ待つ分だけ全体の期間が長くなります。
事後申請型:工事完了後に実績報告として申請するタイプ。この場合、工事のタイミング自体は自治体側の制約を受けにくいですが、年度内に工事完了と報告を済ませる必要があるため、後半になるほどスケジュールがタイトになります。
併用時の標準的なスケジュール
国と自治体の両方が事前申請型の場合、おおよそ以下のような流れになります。
- 情報収集・見積もり取得(工事の2〜4ヶ月前)
- CEV補助金の交付申請(NeVに申請)
- 自治体の補助金の交付申請(市の窓口へ申請)※自治体によっては2と前後する
- CEV補助金の交付決定通知を受領(申請から1〜2ヶ月後)
- 自治体の交付決定を受領
- V2H機器の発注・工事着手(両方の交付決定が揃ってから)
- 工事完了・支払い完了
- CEV補助金の実績報告
- 自治体の実績報告
- 補助金の振込(CEV・自治体それぞれ)
ポイントは、両方の交付決定が出るまで発注・着手しないことです。どちらか片方でも交付決定前に着手してしまうと、その補助金は受け取れなくなります。
業者への事前共有が重要
このスケジュールを自分だけで管理するのは大変です。見積もりの段階で業者に「国のCEV補助金と市の補助金を両方使いたい」と明確に伝えてください。補助金の申請に慣れた業者であれば、交付決定のタイミングを見越して工事日程を調整してくれます。逆に、補助金対応に不慣れな業者だと「先に発注しないと納期が…」と急かされて失敗するリスクが高くなります。
業者選びの際に「補助金の申請代行に対応しているか」を確認しておくのも有効です。申請書類の作成から提出まで代行してくれる業者を選べば、手続きの負担を大幅に減らせます。
鈴木さおり
田中健太
鈴木さおりよくある質問
Q. 国・県・市の3つを全部併用できる?
制度上は、それぞれが別財源であれば3つの併用も可能です。ただし埼玉県は令和8年度時点でV2H向けの県独自補助金を実施していないため、実質的には「国(CEV補助金)+市町村」の2段構えが上限になります。
東京都のように県(都)レベルで手厚い補助金がある地域では3つの併用で自己負担がほぼゼロになるケースもありますが、埼玉県ではそこまでの恩恵は期待できないのが現状です。
Q. 補助金の合計が導入費用を超えたらどうなる?
補助金の合計額が実際の導入費用を上回ることは、制度上起こらないように設計されています。多くの補助金は「補助対象経費の○%」や「他の補助金を差し引いた残額に対して交付」というルールになっているため、導入費用を超える金額が交付されることはありません。
仮に計算上超えてしまう場合でも、交付額が自動的に減額調整されます。
Q. 申請は全部自分でやるの?業者に頼める?
CEV補助金はオンラインで申請者本人が手続きする形式ですが、実際には施工業者が書類作成を代行してくれるケースが多いです。自治体の補助金も同様で、業者が申請のサポートに対応していることがあります。
ただし、すべての業者が補助金に対応しているわけではありません。見積もりの段階で「補助金の申請をサポートしてもらえるか」を確認しておくのがおすすめです。一括見積もりサービスを使えば、補助金対応の可否も含めて複数社を比較できます。
Q. 片方だけ不採択になったらどうなる?
国と自治体の補助金はそれぞれ独立した審査なので、片方が不採択でも、もう片方に影響はありません。
たとえばCEV補助金が交付決定されたものの、自治体の補助金が予算終了で受け付けてもらえなかった場合でも、CEV補助金はそのまま受け取れます。逆のパターンも同様です。
ただし、自治体によっては交付申請時に「CEV補助金の申請状況」の報告を求められる場合があります。不採択になった場合は自治体にもその旨を伝えてください。
Q. 年度をまたいでの申請はできる?
基本的に、補助金はその年度内に工事完了・実績報告まで済ませる必要があります。CEV補助金と自治体の補助金で年度の区切りや提出期限が異なる場合があるため、スケジュールが年度末にかかりそうなときは特に注意してください。
年度後半(12月以降)に検討を始める場合は、翌年度の制度を待って申請する方が確実なケースもあります。
まとめ|補助金は「調べた人が得をする」制度
V2H補助金の併用について、ポイントを振り返ります。
国のCEV補助金と市町村の補助金は制度の出どころが別なので、原則として併用が可能です。埼玉県は令和8年度時点で県独自のV2H補助金を実施していないため、「国+市町村」の2段構えが基本になります。
ただし、市町村の補助金の財源に国庫支出金が含まれている場合は併用が制限されることがあります。申請前に自治体の窓口で「CEV補助金と併用できますか?」と一言確認するだけで、このリスクは回避できます。
併用時に最も気をつけたいのは申請スケジュールです。CEV補助金は交付決定前の着手がNGという厳格なルールがあり、自治体側にも事前申請が必要なケースがあります。両方の交付決定が出るまで発注・工事に着手しないこと、そして見積もりの段階で業者に「両方使いたい」と伝えておくことが、併用を成功させるカギです。
補助金の制度は「知っている人だけが得をする」仕組みです。自治体ごとに金額も条件も異なるため、お住まいの市の補助金情報を早めにチェックしておくことをおすすめします。
まずは費用シミュレーターで補助金適用後の自己負担額を確認してみてください。
具体的な見積もりが欲しい方は、補助金の申請サポートに対応した業者を比較できる一括見積もりサービスの活用がおすすめです。