「国の補助金と市の補助金、両方もらえるってホントですか?」
V2Hの補助金を調べていくと、国(CEV補助金)と市町村の独自補助金の2種類があることに気づきます。「両方申請したら二重取りになる?」「そもそもダブって申請していいの?」と、不安で一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、V2H補助金は国と市町村で原則併用OKです。財布が別なので、両方の条件を満たせば堂々と2段重ねでもらえます。実際、cost-data.md第2版のケース計算では、補助金フル活用で自己負担を導入費用の半分以下に抑えられます。
この記事を読み終えると、「自分の市で併用できるのか」「いくら戻ってくるのか」「どう申請すればいいのか」がはっきり見えてきます。
この記事でわかること
- 国と市町村のV2H補助金は原則併用できる理由
- 「同一経費の二重補助NG」など併用の例外ルール
- 併用した場合の自己負担シミュレーション
- 失敗しない申請スケジュールの組み方
V2H補助金は国と市町村で併用OK|結論と理由

V2Hの補助金には国の制度と市町村独自の制度がありますが、原則として両方を併用できます。一方だけしか申請しないと、本来もらえるはずのお金を取りこぼすことになるので、まずはこの基本を押さえておきましょう。
理由はシンプルです。国の補助金(CEV補助金)は経済産業省の予算から、市町村の補助金は各自治体の独自財源から交付されるもので、出どころがまったく別だからです。財布が違えば、両方からもらっても「二重取り」にはなりません。
実際、多くの自治体が交付要綱のなかで「国の補助金との併用を妨げない」と明記しています。
2段重ねで自己負担を抑えられる
併用を活用すると、V2Hの導入費用130〜200万円に対して、国から最大65万円、市町村から数万円〜10万円台が上乗せされます。条件次第で自己負担は導入費用の45〜55%まで圧縮できるのが大きなメリットです。
例外もある|「同一経費の二重補助NG」のルール
ただし、ひとつだけ重要な例外ルールがあります。それは「同一経費に対する二重補助は禁止」という考え方です。
たとえば「V2H機器の購入費」という同じ経費に対して、国と市が両方から100%補助するようなことはできません。市町村側で「国の補助金を差し引いた残額に対して補助する」「補助対象経費から国の補助金分を控除する」といった調整が入るケースが多くあります。
詳しい見分け方は次の章で解説します。
V2H補助金の3つの層|国・県・市町村の違い
併用のルールを理解するには、まず「誰が」「いくら」出しているのかを把握する必要があります。V2Hの補助金は3層構造になっていますが、埼玉県民にとって実際に使えるのは2つの層だけです。
国の補助金(CEV補助金)|最大65万円
経済産業省が所管し、一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV)が審査・交付を行う制度です。V2H充放電設備に対しては、設備費(税抜価格の1/2、上限50万円)と工事費(税抜実費、上限15万円)をあわせて最大65万円が交付されます。
計算式は次のとおりです。
- 設備費補助 = MIN(機器購入価格(税抜) × 1/2、型式別補助上限額)
- 工事費補助 = MIN(工事費(税抜)、15万円)
- 合計補助 = 設備費補助 + 工事費補助
注意点は、型式によって設備費の補助上限額が異なること。たとえばニチコン プレミアム(VCG-666CN7)は型式別上限が44.9万円なので、機器代の1/2が44.9万円を超えても44.9万円までしか出ません。一方、セパレート(VSG3-666CN7)やプレミアムPlusは上限50万円が適用されます。
また、2026年度の予算は前年度比で大幅増額され、V2H充放電設備・外部給電器枠だけで145億円が確保されています(2026年5月時点・公式発表ベース)。先着順なので予算消化次第終了する点には注意が必要ですが、当面は申請しやすい状況が続く見込みです。
都道府県の補助金|埼玉県は実施なし
都道府県レベルでV2H向けの補助金を設けている地域もあります。たとえば東京都は条件次第で上限100万円という非常に手厚い独自制度を持っています。
一方、埼玉県は令和8年度(2026年度)時点でV2H単体への県独自補助金を実施していません。埼玉県が運営していた「電気自動車等導入費補助金事業」は令和7年度で終了し、令和8年度は実施しないことが県の公式サイトで明記されています。
つまり埼玉県民の場合、V2H補助金は「国+市町村」の2段構えが基本です。3段構えの東京都に比べると恩恵は小さいですが、それでも市町村の補助金を確実に押さえることでかなりお得になります。
市町村の補助金|数万円〜10万円台
市町村レベルでは、V2H・蓄電池・太陽光発電の導入に対して独自の補助金を設けている自治体が多くあります。金額は自治体によって幅がありますが、国のCEV補助金と併用できるケースがほとんどです。
ただし注意点が2つあります。V2H単体では対象外で「太陽光パネルとセット導入」が条件になっている自治体があること、そしてそもそもV2Hを補助対象に含めていない自治体もあることです。お住まいの市の制度を個別に確認する必要があります。
3層構造の早見表
| 交付元 | 埼玉県民が使えるか | 金額目安 |
|---|---|---|
| 国(CEV補助金) | ○ 使える | 最大65万円 |
| 埼玉県 | × 令和8年度は実施なし | ─ |
| 市町村 | △ 自治体次第 | 数万円〜10万円台 |
埼玉県内の自治体ごとの補助金は、補助金まとめページで一覧確認できます。

併用できるケース・できないケース|3つのパターンで判断
「原則OK」とはいえ、確認せずに申請すると補助金が減額されたり、最悪の場合受け取れないこともあります。市町村の補助金は次の3パターンに分かれるので、自分の市がどれに当てはまるか判断してください。
パターン①|独自財源(完全併用OK)
市町村の補助金が自治体の独自財源だけで運営されている場合、国のCEV補助金との併用はまったく問題ありません。
たとえば狭山市は公式サイトのQ&Aで「クリーンエネルギー推進補助金は国費を充当していないため、併用可能」と明記しています。さいたま市や久喜市の補助金も、CEV補助金と併用した申請実績があります。
このパターンが最もシンプルで、国+市の単純な足し算で補助金がもらえます。
パターン②|国費が含まれる財源(併用NGまたは制限あり)
市町村の補助金の財源に国庫支出金が含まれている場合、同一経費の二重補助を避けるため、国の補助金との併用が制限されることがあります。
埼玉県内では、所沢市・春日部市・新座市などの太陽光発電・蓄電池関連の補助金が国庫支出金を財源としている例が確認されています。これらの市でV2Hがセット条件に含まれている場合、CEV補助金との併用に制限がかかる可能性があります。
パターン③|差し引き計算(併用OKだが単純合算ではない)
併用自体はできるものの、自治体側の補助額が「導入費用からCEV補助金の交付額を差し引いた残額」で計算されるパターンです。これも同一経費の二重補助を回避するための仕組みです。
たとえばCEV補助金で60万円もらった場合、自治体の補助対象経費がその分減り、結果として自治体からの交付額が小さくなります。「国の補助金+自治体の補助金=単純な足し算」にならない点に注意が必要です。
それでも併用しないよりは確実にお得になります。
確認する3つの方法
自分の市がどのパターンかを判断するには、次の方法があります。
- ①交付要綱を読む:「他の補助金との併用」「国庫支出金」のキーワードで検索すると、該当する条項が見つかります
- ②自治体の窓口に電話する:「国のCEV補助金と併用できますか?」と聞くだけで回答が得られます。最も確実な方法です
- ③施工業者に確認する:V2Hの施工実績が豊富な業者なら、地域ごとの併用ルールに詳しいことが多いです
田中健太
鈴木さおり
田中健太併用したらいくら安くなる?自己負担シミュレーション
「併用できる」と言われても、結局いくら安くなるのかが見えないと動きにくいものです。ここでは、ニチコン製V2Hを導入する想定で、補助金適用後の自己負担額を3パターンで試算します。すべて税抜・税込を明示し、CEV補助金は正しい算定式に基づいて計算しています。
ケースA|ニチコンプレミアム+標準工事(国補助金のみ)
ニチコン プレミアム(VCG-666CN7)を標準工事で導入した場合の試算です。型式別の補助上限額が44.9万円のため、設備費補助は45万円ではなく約45万円(算定上限)が適用されます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 機器の希望小売価格(税抜) | 約90万円 |
| 設置工事費(税抜) | 約25万円 |
| 導入費用合計(税抜) | 約115万円 |
| 導入費用合計(税込) | 約127万円 |
| 国のCEV補助金 設備分(機器代×1/2) | ▲45万円 |
| 国のCEV補助金 工事分(上限額適用) | ▲15万円 |
| 国補助金合計 | ▲60万円 |
| 補助金適用後の自己負担(税込) | 約67万円 |
ケースB|ケースA+自治体補助金(国+市の併用)
ケースAに、独自財源タイプの自治体補助金10万円を上乗せした場合の試算です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ケースAの自己負担(税込) | 約67万円 |
| 自治体の補助金 | ▲約10万円 |
| 最終的な自己負担(税込) | 約57万円 |
補助金フル活用で、導入費用の45〜55%をカバーできる計算です。なお、自治体補助金の金額は市によって異なるため、お住まいの市の制度を個別に確認してください。
ケースC|ニチコンセパレート(VSG3)+標準工事
ニチコンの現行主力モデル、セパレート(VSG3-666CN7)を標準工事で導入した場合の試算です。プレミアムより上位機種ですが、こちらは型式別上限が50万円のため、設備費補助は上限額が適用されます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 機器の希望小売価格(税抜) | 約128万円 |
| 設置工事費(税抜) | 約30万円 |
| 導入費用合計(税抜) | 約158万円 |
| 導入費用合計(税込) | 約174万円 |
| 国のCEV補助金 設備分(上限額適用) | ▲50万円 |
| 国のCEV補助金 工事分(上限額適用) | ▲15万円 |
| 国補助金合計 | ▲65万円 |
| 補助金適用後の自己負担(税込) | 約109万円 |
上位機種を選ぶと総額は上がりますが、補助金上限額をフル活用できる点がメリットです。耐用年数や保証期間(VSG3は10年)を考慮すると、長期的なコスパは悪くありません。
3ケースの比較まとめ
| ケース | 機器 | 導入費用(税込) | 補助金 | 自己負担(税込) |
|---|---|---|---|---|
| A | プレミアム | 約127万円 | ▲60万円(国のみ) | 約67万円 |
| B | プレミアム | 約127万円 | ▲70万円(国+市) | 約57万円 |
| C | セパレート | 約174万円 | ▲65万円(国のみ) | 約109万円 |
※実売価格はネット販売店で希望小売価格より20〜40%引きとなるケースが多く、上記より実際の自己負担はさらに下がる可能性があります。正確な金額は見積もりと交付決定額をもとに算出してください。
併用するときの申請スケジュール|失敗しない段取り
補助金の併用で最も多い失敗が、申請のタイミングを間違えて補助金を受け取れなくなるパターンです。金額の大きさよりも、スケジュール管理のほうがはるかに重要です。ここで全体の流れをしっかり把握しておきましょう。
絶対ルール|CEV補助金は「交付決定後の着手」が必須
国のCEV補助金には、交付決定通知を受け取る前にV2H機器の発注や工事に着手すると補助対象外になるという厳格なルールがあります。
業者から「早く発注しないと納期が間に合わない」と急かされて先走ってしまうのが、最も多い失敗パターンです。交付決定までの期間は、不備のない申請を受け付けてからおおむね1〜2ヶ月。申請が集中する時期はさらにかかることもあります。
自治体の補助金は「事前申請型」と「事後申請型」がある
市町村の補助金は自治体によって申請のタイミングが異なります。
- 事前申請型:工事の前に交付申請し、交付決定を受けてから着手するタイプ。CEV補助金と同じ考え方ですが、決定を2つ待つ分だけ全体期間が長くなります
- 事後申請型:工事完了後に実績報告として申請するタイプ。工事タイミングは自由ですが、年度内に完了・報告を済ませる必要があります
併用時の標準的な流れ(事前申請型の場合)
国と自治体の両方が事前申請型の場合、おおよそ以下のような流れになります。
- 情報収集・見積もり取得(工事の2〜4ヶ月前)
- CEV補助金の交付申請(NeVにオンライン申請)
- 自治体の補助金の交付申請(市の窓口へ申請)
- CEV補助金の交付決定通知を受領(申請から1〜2ヶ月後)
- 自治体の交付決定を受領
- V2H機器の発注・工事着手(両方の交付決定が揃ってから)
- 工事完了・支払い完了
- CEV補助金・自治体それぞれに実績報告
- 補助金の振込(それぞれ別タイミング)
最も大事なポイントは、両方の交付決定が出るまで絶対に発注・着手しないことです。どちらか片方でも交付決定前に着手してしまうと、その補助金は受け取れません。
業者には「両方使う」と最初に伝える
このスケジュールを一人で管理するのは大変です。見積もりの段階で業者に「国のCEV補助金と市の補助金を両方使いたい」と明確に伝えてください。
補助金に慣れた業者なら、交付決定のタイミングを見越して工事日程を調整してくれます。申請書類の作成を代行してくれるケースも多いです。逆に、補助金対応に不慣れな業者だとスケジュールの失敗リスクが高まります。
業者選びの際に「補助金の申請代行に対応しているか」を確認するのは非常に有効です。
鈴木さおり
田中健太
鈴木さおりよくある質問
Q. 国・県・市の3つを全部併用できる?
制度上は、それぞれが別財源であれば3つの併用も可能です。ただし埼玉県は令和8年度時点でV2H単体への県独自補助金を実施していないため、実質的には「国+市町村」の2段構えが上限になります。
東京都のように県(都)レベルで手厚い補助金がある地域では3つ併用で自己負担がほぼゼロになるケースもありますが、埼玉県ではそこまでの恩恵は期待できないのが現状です。
Q. 補助金の合計が導入費用を超えたらどうなる?
制度上、そうならないように設計されています。多くの補助金は「補助対象経費の○%」や「他の補助金を差し引いた残額に対して交付」というルール(同一経費の二重補助禁止)になっているため、導入費用を超える金額が交付されることはありません。計算上超えてしまう場合でも、交付額が自動的に減額調整されます。
Q. CEV補助金は税抜ベース?税込ベース?
CEV補助金は税抜ベースで計算します。機器の購入価格(税抜)と工事費(税抜)を申請書に記入し、設備費補助は税抜価格の1/2(型式別上限あり)、工事費補助は税抜実費(上限15万円)が交付されます。税込価格で計算すると補助金額を多く見積もりすぎるので注意してください。
Q. 申請は自分でやるの?業者に頼める?
CEV補助金はオンラインで申請者本人が手続きする形式ですが、実際には施工業者が書類作成を代行してくれるケースが多いです。自治体の補助金も同様です。
ただし、すべての業者が対応しているわけではないので、見積もりの段階で確認してください。
Q. 片方だけ不採択になったらどうなる?
国と自治体の補助金はそれぞれ独立した審査です。片方が不採択でも、もう片方に影響はありません。CEV補助金が交付決定されたが自治体の補助金が予算終了で受け付けてもらえなかった場合でも、CEV補助金はそのまま受け取れます。
ただし、自治体によっては交付申請時に「CEV補助金の申請状況」の報告を求められるので、状況が変わったら自治体にもその旨を伝えてください。
Q. 2026年度の予算は枯渇しそう?
2026年度はV2H充放電設備・外部給電器枠だけで145億円と前年度比で大幅に増額されています。当面は予算枯渇のリスクは低い見込みですが、CEV補助金は先着順なので、検討中であれば早めに動くのが安全です。
まとめ|補助金は「調べた人が得をする」制度
この記事のポイントを振り返ります。
- 国のCEV補助金と市町村の補助金は、財源が別なので原則として併用できる
- CEV補助金は税抜ベースで計算され、設備費は機器代×1/2(型式別上限あり)、工事費は実費上限15万円
- 2026年度のV2H枠は145億円と大幅増額・先着順で予算消化次第終了
- 市町村の補助金は3パターン(独自財源/国費含む/差し引き計算)に分かれ、「同一経費の二重補助NG」が原則
- 併用で自己負担を導入費用の45〜55%まで圧縮可能(プレミアム導入時で約57万円)
- 最大の失敗リスクは申請スケジュール─交付決定前の着手は絶対NG
- 見積もりの段階で業者に「両方使う」と伝えておくことが成功のカギ
補助金は「知っている人だけが得をする」仕組みです。制度の存在を知り、自分の市の条件を調べ、申請の段取りを組める人だけが、数十万円の恩恵を受けられます。
国のCEV補助金の詳しい申請手順は別記事でまとめています。

V2H補助金を最大限活用するには、補助金の申請サポートに対応した業者を選ぶことが何より重要です。複数業者を比較できる相見積もりサービスなら、補助金込みの最終的な自己負担額を具体的に把握できます。

