「自分の車でV2Hは使えるの?」「これから買うならどの車がいい?」
V2Hの導入を検討するとき、最初に気になるのが対応車種です。
結論から言えば、日産・三菱・トヨタなど国産メーカーのEV・PHEVは多くの車種がV2Hに対応しています。一方、テスラやBMWなど一部の輸入車は非対応です。
ただし注意点が2つあります。同じ車種でも年式やグレードによって対応・非対応が分かれるケースがあること。そしてV2H機器の側にも対応車種があり、「車×機器」の組み合わせで確認が必要なことです。
このページでは、V2H対応車種をメーカー別に一覧で整理し、確認方法や選び方のポイントまで解説します。
この記事でわかること
- 国産・輸入メーカー別のV2H対応車種一覧
- バッテリー容量別の給電時間の目安
- V2H機器ごとの対応車種の違い
- 年式・グレードによる落とし穴と確認方法
この記事の車種情報について
2025年時点の各メーカー公表情報をもとにしています。対応状況は随時更新されるため、最新情報は各自動車メーカーおよびV2H機器メーカーの公式サイトで必ずご確認ください。
【国産メーカー別】V2H対応車種一覧
まずは最も知りたい方が多い、国産メーカーの対応車種を見ていきましょう。日産・三菱・トヨタ・ホンダ・マツダ・SUBARUの6メーカーから、主要な対応車種を一覧にまとめました。
バッテリー容量は「停電時に何日分の電力をまかなえるか」に直結するため、あわせて記載しています。
※バッテリー容量は代表的なグレードの値です。年式やグレードにより異なる場合があります。
日産
初代リーフの時代からV2Hに対応しており、対応車種の数・実績ともに最も充実しているメーカーです。V2H機器との相性で困るケースが少なく、初めてのV2H導入に安心感があります。
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| リーフ | EV | 40kWh / 60kWh | V2Hの定番。流通量が多く中古車も豊富 |
| リーフe+ | EV | 60kWh | 大容量バッテリーで長時間の給電が可能 |
| サクラ | EV | 20kWh | 軽EVで導入しやすい。容量は少なめ |
| アリア | EV | 66kWh / 91kWh | 大容量で停電対策にも強い |
| e-NV200 | EV | 40kWh | 商用バンタイプ。生産終了だが中古市場にあり |
三菱
PHEVの分野で早くからV2Hに取り組んできたメーカーです。アウトランダーPHEVはバッテリー残量がなくなってもエンジンで発電できるため、長期間の停電対策にも強いのが特徴です。
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| アウトランダーPHEV | PHEV | 20kWh / 22.7kWh | V2H対応PHEVの代表格。エンジン発電も可能 |
| エクリプスクロスPHEV | PHEV | 13.8kWh | コンパクトSUV。容量は控えめ |
| eKクロスEV | EV | 20kWh | 軽EV。日産サクラの兄弟車 |
| ミニキャブEV | EV | 20kWh | 軽商用EV。急速充電機能はメーカーオプション |
※アウトランダーPHEV・エクリプスクロスPHEVは、エンジンがかかった状態ではV2Hによる充放電ができません。
トヨタ / レクサス
bZ4Xで本格的にBEV市場に参入しました。ただしプリウスPHEVは年式によってV2H対応・非対応が分かれるため、このページで最も注意が必要な車種です。
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| bZ4X | EV | 71.4kWh | トヨタ初の量産BEV。大容量 |
| プリウスPHV(旧型) | PHEV | 8.8kWh | 2019年5月〜2022年10月生産の5人乗りが対象 |
| MIRAI | FCEV | ー | 燃料電池車。V2H機器によって対応が異なる |
⚠️ 2023年3月発売の新型プリウスPHEVはV2H非対応
新型プリウスPHEVはCHAdeMO放電に非対応のため、V2Hは使えません。また、旧型プリウスPHVも急速充電インレット(外部給電機能付き)はオプション装備です。購入前に必ず確認してください。
ホンダ
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Honda e | EV | 35.5kWh | コンパクトEV。生産終了だが中古市場にあり |
| CR-V e:FCEV | FCEV | ー | 燃料電池車。停電時の放電のみ対応 |
マツダ
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| MX-30 EV MODEL | EV | 35.5kWh | マツダ初の量産EV |
| MX-30 Rotary-EV | PHEV | 17.8kWh | ロータリーエンジンで発電。停電時の安心感あり |
※MX-30は車台番号によって対応・非対応が分かれます(車台番号DRH3P-150001〜が対象)。それ以前の車両についてはマツダコールセンターに確認が必要です。
SUBARU
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ソルテラ | EV | 71.4kWh | トヨタbZ4Xの兄弟車。大容量 |
田中健太
鈴木さおり
田中健太
鈴木さおり【輸入メーカー】V2H対応車種一覧
「輸入車はV2Hに対応していない」と思われがちですが、BYDやメルセデス・ベンツなど対応車種は広がりつつあります。ただし国産車に比べると制限がある車種もあるため、利用条件まで確認することが大切です。
BYD
日本市場への参入とともにV2H対応を進めていますが、車種によって利用条件に差がある点に注意が必要です。
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ATTO 3 | EV | 58.56kWh | BYDの日本向け主力モデル |
| DOLPHIN | EV | 44.9kWh / 58.56kWh | コンパクトEV |
| SEALION 7 | EV | 82.56kWh | 大容量。電力ロスはあるが従来車種から改善 |
| SEAL / SEAL AWD | EV | 82.56kWh | 停電時のみ利用可。日常利用は非推奨 |
※BYD SEALは充放電時の昇降圧変換による電力ロスが大きいため、停電時の非常用電源としての利用に限定されています。詳細はBYD正規販売店に確認してください。
メルセデス・ベンツ
複数のEQシリーズでV2H対応を進めていますが、モデルによって対応・非対応が混在しています。
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| EQA | EV | 66.5kWh | SUVタイプのエントリーモデル |
| EQB | EV | 66.5kWh | 3列シートの実用派 |
| EQE | EV | 90kWh | セダン。大容量バッテリー |
| EQS | EV | 107.8kWh | フラグシップ。超大容量 |
※E 53 HYBRIDステーションワゴンなど、外部給電機能に非対応のモデルもあります。車種・グレードごとの対応状況はメルセデス・ベンツ販売店に確認してください。
Hyundai(ヒョンデ)
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| IONIQ 5 | EV | 58kWh / 72.6kWh | V2L対応。V2Hは停電時のみ推奨 |
| KONA | EV | 48.6kWh / 64.8kWh | V2L対応のコンパクトSUV |
※IONIQ 5は高電圧バッテリーの変圧による電力ロスが発生するため、一部のV2H機器メーカーでは日常利用は非推奨とされています。
MINI
| 車種名 | タイプ | バッテリー容量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| MINI Cooper SE | EV | 32.6kWh | コンパクト。バッテリー容量は少なめ |
V2H非対応の主な輸入メーカー
以下のメーカーの車両は、2025年時点で日本国内のV2H機器には対応していません。
- テスラ:独自の充電規格(NACS)を採用。CHAdeMOベースのV2Hは利用不可
- BMW:CCS規格が主流。V2H非対応
- ポルシェ:同上
- フォルクスワーゲン:同上
- アウディ:同上
これらのメーカー車でV2Hを利用するには、今後の規格統一や変換アダプタの開発を待つ必要があります。
そもそもV2H対応の条件とは?|非対応車種がある理由
前章の一覧を見て「なぜ対応している車種とそうでない車種があるの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。ここでは、V2H対応に必要な2つの条件を押さえておきましょう。これを理解しておくと、新しい車種が発売されたときにも自分で対応・非対応を判断できるようになります。
条件①:CHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電口があること
V2H機器は、CHAdeMOの充電口を通じて車のバッテリーから電気を取り出します。普通充電用の充電口だけでは放電ができません。テスラやBMWなど海外メーカーが独自規格(NACS・CCS)を採用しているのが、V2H非対応の主な理由です。
条件②:車両側に外部給電機能(V2H機能)が搭載されていること
CHAdeMO対応の急速充電口があっても、車のソフトウェアが外部への放電を許可していなければV2Hは使えません。カタログや仕様表で「外部給電機能」「V2H対応」といった記載があるかどうかがチェックポイントです。
さらにもうひとつ知っておきたいのが、V2H機器の側にも対応車種があるということです。同じ日産リーフでも、ニチコン製とオムロン製では対応状況が異なることがあります。「車×V2H機器」の組み合わせで確認する必要があります。
下のフローチャートで、自分の車がV2Hに対応しているかを3ステップで確認できます。
車種名だけで判断しない!対応車種を確認するときの3つの注意点
V2H対応車種の一覧に自分の車が載っていても、安心するのはまだ早いかもしれません。実は「対応車種のはずなのにV2Hが使えなかった」という失敗は、以下の3つの見落としから起こります。
注意点①:同じ車種でも年式・グレードで対応が異なる
最も注意が必要なパターンです。代表例がトヨタのプリウスPHVで、旧型(2019年5月〜2022年10月生産の5人乗り)はV2Hに対応していますが、2023年3月発売の新型プリウスPHEVはCHAdeMO放電に非対応です。
「プリウスだから大丈夫」と車種名だけで判断すると、世代の違いで使えないことがあります。
注意点②:急速充電口がオプション装備の車種がある
旧型プリウスPHVの場合、V2Hに必要な急速充電インレット(外部給電機能付き)はメーカーオプションです。オプションを付けずに購入した車両ではV2Hが使えません。中古車を購入する場合は、実車で急速充電口の有無を確認することが重要です。
注意点③:中古EV購入時は車台番号まで要確認
マツダMX-30のように、特定の車台番号以降の車両のみが対応しているケースもあります。中古車販売店ではV2Hの対応状況まで把握していないことも多いため、自分で確認する姿勢が大切です。
中古EVでV2Hを使いたい場合は、以下の3点を必ずチェックしてください。
- 急速充電口(CHAdeMO)が装備されているか
- 年式が対応範囲に含まれているか(車台番号での確認が必要な車種もある)
- V2H機器メーカーの対応車種リストに掲載されているか
対応車種を最終確認する3ステップ
「買ったのに使えなかった」を防ぐために、以下の3ステップで最終確認しましょう。
この3ステップを踏めば、対応車種の確認で失敗することはまず防げます。
田中健太
鈴木さおり
田中健太
鈴木さおりV2H機器ごとに対応車種が違う|主要4メーカーの特徴
車がV2Hに対応していても、接続するV2H機器側で使えなければ意味がありません。V2H機器メーカーごとに対応車種のラインナップが異なるため、ここで主要4メーカーの特徴を把握しておきましょう。
ニチコン EVパワー・ステーション(VSG3シリーズ)
対応車種が最も多いのがニチコンです。2012年に世界初のV2Hシステムを開発したメーカーであり、国産車はもちろん、BYDやメルセデス・ベンツなど輸入車への対応も進んでいます。迷ったらニチコンを基準に検討するのが安全です。
なお、スタンダードモデル(VCG-663CN3 / CN7)は2024年8月に生産終了しており、現行はプレミアムモデル(VCG-666CN7)とプレミアムPlus(VCG-666CN7K)、セパレートタイプのVSG3シリーズです。
ニチコン トライブリッド蓄電システム
V2H機器と家庭用蓄電池を一体化したシステムです。太陽光発電・蓄電池・EVの3つの電力を一括管理でき、車が不在のときでも蓄電池で停電対策ができます。対応車種はEVパワー・ステーションと概ね同じですが、ソフトウェアバージョンにより接続できない車種がある場合もあります。
オムロン マルチV2Xシステム
輸入車を含めた対応車種の拡大を進めており、メルセデス・ベンツやBYDなどの接続実績もあります。ニチコンとは対応車種が一部異なるため、特に輸入車での利用を考えている場合はオムロンの対応リストも確認しておくとよいでしょう。
パナソニック eneplat
太陽光発電との連携を前提とした蓄電池+V2Hの一体型システムです。対応車種はニチコンに比べるとやや限定的ですが、パナソニック製品で統一したい場合にメリットがあります。
車種選びの基本は、「まず乗りたい車を決めて、その車に対応しているV2H機器を選ぶ」という流れです。最終確認はV2H機器メーカーの公式サイトで行ってください。
バッテリー容量で何時間使える?V2H対応車種の選び方
V2H対応車種のなかからどの車を選ぶか。ここでは判断材料として重要な「バッテリー容量と給電時間の関係」と「EVとPHEVの使い分け」を整理します。
バッテリー容量別の給電時間の目安
一般的な家庭の1日あたりの電力消費量は約10〜15kWhです。これを基準にすると、各車種でどのくらい家庭に電気を供給できるかの目安が見えてきます。
| バッテリー容量 | 代表的な車種 | 給電可能時間の目安 |
|---|---|---|
| 20kWh | サクラ、eKクロスEV | 約1〜1.5日分 |
| 40kWh | リーフ(40kWh) | 約2〜3日分 |
| 60kWh | リーフe+、ATTO 3 | 約4〜5日分 |
| 71kWh | bZ4X、ソルテラ | 約5〜6日分 |
| 91kWh | アリア(大容量モデル) | 約6〜8日分 |
※実際の給電可能時間は、放電下限の設定(通常10〜30%)、家庭の電力使用量、気温などにより変動します。上記はフル充電からの理論上の目安です。
「電気代節約」か「停電対策」かで選び方が変わる
日常の電気代節約がメインの場合は、20〜40kWhクラスの車種でも十分に効果を発揮します。深夜の安い電気をEVに充電して昼間に放電する、太陽光発電の余剰電力をEVに貯めて夜に使う、といった運用で日々の節約効果が得られます。
停電時の非常用電源として重視する場合は、バッテリー容量が大きいほど安心です。60kWh以上の車種であれば、節電を意識した使い方で数日間は家庭の電力をまかなえます。
EVとPHEVの使い分け
バッテリー容量ではEVが圧倒的に有利ですが、PHEVにはPHEVならではの強みがあります。
PHEVはバッテリー容量こそ13〜22kWh程度と控えめですが、ガソリンエンジンによる発電が可能です。三菱アウトランダーPHEVは、ガソリン満タンからエンジン発電を併用すれば最大で約10日分の電力を供給できるとされています。
長期間の停電に備えるなら、大容量EVよりもPHEVのほうが実用的なケースもあるわけです。
以下の比較図で、EVとPHEVそれぞれの強み・弱みと、おすすめの使い方を整理しています。
V2Hに何を一番求めるのか。その優先順位で車種を選ぶと後悔が少なくなります。
まとめ|対応車種の確認はV2H導入の第一歩
この記事のポイントをまとめます。
- 国産メーカーのEV・PHEVは多くの車種がV2Hに対応。日産・三菱が特に充実
- 輸入車はBYD・ベンツ等で対応が広がるが、テスラ・BMW等は非対応
- 同じ車種名でも年式・グレード・オプションで対応が異なる場合がある
- V2H機器ごとにも対応車種が違うため、「車×機器」の組み合わせで最終確認が必要
- 電気代節約なら20〜40kWhクラスのEV、停電対策重視なら60kWh以上のEVかPHEV
対応車種の確認は、V2H導入を進めるうえでの最初のステップです。車種の目処が立ったら、次は見積もりを取ってV2H機器との適合や工事費を含めた総額を確認してみましょう。
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