停電に備えたいけれど、V2Hは100万円を超える。もっと手軽な方法で十分なのでは、と迷っていませんか。
停電対策には、ポータブル電源・車のコンセント・外部給電器・V2Hの4つの方法があり、違いは「電気がどこまで届くか」です。届く範囲・費用・向いている家庭を、メーカーと国の公式情報をもとに比べます。
結論:何を守りたいかで選ぶ。家全体ならV2H、家電数台ならそれ以外
- ポータブル電源:買ってすぐ使える。容量は1〜2kWh級(kWhは電気の量の単位)が中心で、家全体の1日分(10〜13kWh)には届かない
- 車のコンセント:HV・PHEVなら追加の機器なしで使える。合計1500Wまでの家電に限られる
- 外部給電器:EVの電池から家電に電気を出す機器。3〜6kWと出力が大きいが、家の配線にはつながらない
- V2H:家の分電盤につなぎ、現行の主力機は停電時に自動で切り替わる(在庫品には手動の機種もある)。全負荷型なら200Vのエアコンも使える
4つの方法の違いを比べる
| ポータブル電源 | 車のコンセント | 外部給電器 | V2H | |
|---|---|---|---|---|
| 電気が届く範囲 | つないだ家電だけ | つないだ家電だけ | つないだ家電だけ | 家の配線(全負荷なら家全体) |
| 出力の目安 | 1500〜2200W | 合計1500W | 3〜6kW | 6kVA(VSG3) |
| 停電時の切替 | 手動 | 手動 | 手動 | 自動(在庫品に手動の機種あり) |
| 必要な車 | なし | コンセント付きのHV・PHEVなど | EV・PHEV(対応車) | EV・PHEV(対応車) |
| 費用の目安 | 定価12〜21万円ほど | 車の装備(オプションの場合あり) | 約45〜88万円 | 総額130〜200万円 |
※ 出力・価格はメーカー公式の代表例(2026年10月8日確認)。ポータブル電源は1〜2kWh級の定価で、セールで大きく変わります。外部給電器はニチコン パワー・ムーバー ライト(3.0kW・税別45万円・2021年発表時)からホンダ Power Exporter e: 6000(6.0kVA・税込88万3,960円)まで。
V2Hは機器と工事を含む総額で、詳しい内訳はV2Hの費用相場で解説しています。
ポータブル電源:手軽だが容量は家全体の数時間分
ポータブル電源は電池を内蔵した持ち運べる電源で、工事なしですぐ使えます。主なメーカーの1kWh級は定格1500W、2kWh級は2200Wほどで、冷蔵庫や照明、スマホの充電には十分です。
ただし、1日10kWhを使う家庭に当てはめると、1kWh級は約2.4時間分、2kWh級でも約5時間分です(計算値・変換ロスを除く)。使う家電を絞るのが前提です。
大容量のものは事故のときの発熱も大きく、製品評価技術基盤機構(NITE)が衝撃や高温を避けることと、リコール品は異常がなくても使用をやめることを呼びかけています(NITEの注意喚起)。
車のコンセント:HV・PHEVなら数日分
AC100V・1500Wのコンセントが付いたHVやPHEVは、エンジンで発電しながら家電に電気を出せます。トヨタの試算では、プリウス(2.0L)がガソリン満タンで出せる電力は約48kWhで、1日10kWh使うと約5日分です(トヨタ 給電できるクルマ)。
同時に使えるのは合計1500Wまでです。トヨタによると、起動するときに消費電力の1.1〜8倍の電力が必要な機器があり、合計1500W以下でも止まる場合があります。エンジンがかかるので換気にも注意します。
外部給電器:EVの電気を家電に。家の配線にはつながらない
外部給電器(V2L)は、EVやPHEVの急速充電口につないで、電池の電気を家電に出す機器です。ニチコンのパワー・ムーバー ライトは3.0kW(100V×2口・約21kg)、ホンダのPower Exporter e: 6000は6.0kVAで200Vのコンセントも1口あります。
ニチコンの4.5kWモデルとライトのイエローは、2026年3月31日で受注を終えています(ニチコン パワー・ムーバー)。
国の外部給電器の補助(税抜価格の1/3・機種ごとの上限あり)は、V2Hの補助と同じく2026年8月27日で受付を終了し、次回は未定です(2026年10月時点)。埼玉県内では、富士見市が可搬型の外部給電器に3万円を補助しています(令和8年度)。
補助の内容と受付状況は、NeVの外部給電器の補助と富士見市の補助金ページで確認できます。
V2H:家全体に自動で電気を送れる
V2Hは、EVと家の分電盤をつなぐ機器です。停電すると自動で切り替わり、家の配線を通して電気を送ります。全負荷型(家全体に送るタイプ)なら、200VのエアコンやIH調理器も使えます。自分の車が対応しているかはV2H対応車種一覧で確認できます。
コードの引き回しや家電のつなぎかえが要らず、夜中や留守中の停電でも電気が止まりません。満充電のEVで何日使えるかは、V2Hは停電時に何日使える?で車種ごとに解説しています。
田中健太
鈴木さおりどれを選ぶか:家族と家電で考える
- 家全体の電気、とくに200Vのエアコンも止めたくない:V2H(全負荷型)
- EVを持っていて、冷蔵庫やテレビなど家電を数日動かしたい:外部給電器
- HV・PHEVを持っている:まず車のコンセントを使う。追加の費用がかからない
- 冷蔵庫・照明・スマホだけ守れればいい、車がない:ポータブル電源
組み合わせる手もあります。小さな家電はポータブル電源、長い停電にはPHEVのコンセント、といった使い分けです。車がなく、家の配線ごと守りたい場合は家庭用蓄電池も選択肢です。V2Hと蓄電池の違いで比べています。
V2Hのしくみやメリット・デメリットを最初から知りたい方は、V2Hとは?から読んでみてください。
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家全体を停電から守りたいなら、全負荷型か特定負荷型か、分電盤の工事が必要かで費用が変わります。自宅の分電盤と駐車場の位置を見てもらい、V2Hの見積もりを取っておくと判断しやすくなります。
まとめ
- 停電対策は、ポータブル電源・車のコンセント・外部給電器・V2Hの4つ。違いは電気が届く範囲
- ポータブル電源は手軽だが、1〜2kWh級では家全体の数時間分
- HV・PHEVのコンセントは合計1500Wまで。プリウスなら満タンで約5日分(トヨタ試算)
- 外部給電器はEVの電気を家電に出せる。国の補助は2026年8月27日で終了、富士見市は3万円を補助
- 4つのうち、家の配線ごと守れるのはV2Hだけ。停電時に自動で切り替わり、全負荷型なら200Vの家電も使える
停電のときに何を動かしたいかを先に決めると、必要な容量と費用が見えてきます。
V2Hで車種ごとに何日使えるかは、V2Hは停電時に何日使える?で確認できます。
